池田町の農業と地域の課題に向き合う|3年次選択・時事問題研究
9月17日 午前
「時事問題」の授業において、地元の持続可能な社会づくりや地域産業の動向を学ぶ取り組みを進めています。
今回は池田町役場農政担当者様をお招きした講義および町内の現地取材を実施いたしました。
地域の農業の現状と直面している課題について、生徒たちが探究した内容をお知らせいたします。
【1. 池田町における農業の現状と歴史的背景】
講義および現地視察を通じ、生徒たちは地理的・歴史的視点から本町の農業構造について学びを深めました。
・ 水田の変遷と現状
社会情勢や農業経営の変化に伴い、水田の多くが畑作へと転換されてきました。
現在、町内で水田として機能している農地はわずか2箇所となっています。
交雑防止等の観点から国のルールにより作付けが厳格に管理されており、本町では主にもち米が生産されています。
・ 食育としての基盤維持
現在残されている水田は、商業的な利益追求のみならず、地元の小学生や幼稚園児が田植えから収穫・実食までを体験する「食育事業」の場として、土地改良区等を中心に大切に維持・管理されています。
【2. 地域産業の持続可能性に向けた町の重点施策】
・鳥獣被害対策の強化 ・現状と課題
エゾシカをはじめとする野生鳥獣による農作物被害は、1農家あたり年間約100万円、町全体で約7,000万円規模(調査回答分)に上り、健全な農業経営を脅かす深刻な問題となっています。
本町は北海道内で先駆けて「有害鳥獣被害タスクフォース」の採択を受け、国・道の支援のもとで広域的な被害防止体制の強化を図っています。
・スマート農業およびICT技術の活用推進
トラクターへのGPS自動操縦システムの導入等は進みつつあるものの、労働力不足を補うさらなる省力化が求められています。
国の補助事業を活用し、十勝管内の農業支援システム(タフシステム)の施肥データを機械へ連携させる自動化技術の導入を推進しています。さらに、全域的な通信インフラ(基地局)整備を視野に入れた情報収集も進められています。
・新規就農支援と地域営農の継承
農業者の高齢化や後継者不足が進み、1戸あたりの耕作面積の増大による過重労働(家族経営の限界)が課題となっています。
離農予定のベテラン農家を指導員に指定し、新規就農希望者とのマッチングを図りながら3年間で経営・技術・農地・住居を円滑に継承するモデル事業が始動しています。
【3. 多角的な視点から捉えるまちづくりの課題】
生徒たちは農業分野にとどまらず、地域経済や社会インフラを含めた広い視野で課題の構造を捉える重要性を学びました。
・ 生産現場の労働力確保と外国人材の受入れ
慢性的な人手不足への対応として、特定技能制度などを活用した外国人就労者の受入れ体制や、地域社会との共生に向けた課題について考察しました。
・ 農産物の高付加価値化(6次産業化)
本町は優れた農作物の生産拠点である一方、町内での加工・ブランド化体制(レトルト商品や乳製品加工など)の強化が今後の地域活性化のカギとなることが指摘されました。
・ 持続可能な地域社会の形成
飲食店・宿泊施設の現状や子どもたちの生活環境、賑わい創出に向けた企業誘致など、主体的・協働的にまちの将来を構想する視点を得ることができました。
【まとめ〜社会の形成者としての資質・能力を育むために〜】
今回の授業で、生徒一人ひとりが現実の社会課題に触れ、主体的に問いを見いだすための貴重な探究の機会となりました。
本校では、生徒たちが地域社会の一員としての自覚を持ち、現実の問題に対して深く考察・議論を重ねる教育活動を重視しております。
現在はまだ「課題設定・情報収集」の段階ですが、今回学んだ知見を整理・分析し、生徒自らが地域の未来に向けた具体策を真剣に考え抜くプロセスを支援してまいります。