池田町の天然林から学ぶメープルシロップ生産と地域資源の活用|カナダ姉妹校交流の事前学習
9月14日 午前
カナダ姉妹校交流に向けた事前学習の一環として、北海道池田町で国産メープルシロップの生産・事業展開を行っているわくっとニッタ株式会社様を訪問しました。
同社が手がける取り組みは日本初にして唯一の生産システムであり、設備はメープルシロップの本場カナダから導入しているそうです。
本場の生産技術を学ぶとともに、日本の豊かな天然林を活用した地域活性化の取り組みについてお話を伺いました。
【メープルシロップの生産工程概要】
約20ヘクタールのエリア内に設置されたチューブを通じ、樹液を集約しています。
山側の標高が高く、工場側が低くなるよう配置された高低差(重力)に加え、真空ポンプの吸引力を併用して効率よく樹液を集めています。
メープルシロップの生産には「原材料はカエデの樹液のみ」「糖度66%」「加熱処理を行う」というカナダの基準ルールがあります。
通常、樹液の水分を薪の加熱だけで飛ばすには膨大な燃料と時間がかかりますが、当設備では2段階の工程で大幅な効率化を図っています。
1. 膜濃縮(逆浸透膜): 樹液に圧力をかけて水分子だけを取り除くことで1.5%から15%まで10倍濃縮(水分の約90%を除去)。
2. エバポレーター(加熱濃縮): 15%に濃縮された樹液を薪燃料で加熱・沸騰させ、基準となる66%まで濃縮。
その後、不純物(ミネラル分)を取り除くフィルタープレスを通し、ボトリングして製品化されます。
見学やご説明を通じて学びを深めた生徒たちからは、疑問に思ったことやさらに知りたい点について多くの質問が寄せられました。
以下にその一部をご紹介します。
【質疑応答(Q&A)】
Q. エバポレーターでの加熱温度はどのくらいですか?
A. 糖度66%の樹液は沸点が104℃になるためそこまで加熱しています。温度計で管理し、104℃に達した時点でバルブが開いて自動排出される仕組みになっています。
Q. 膜濃縮で分離された水分は再利用などしているのですか?
A. 主に膜濃縮機の洗浄用として使用しています。また、製品の最終的な濃度微調整にも使われます。
Q. 樹液を採取できる時期や気候の条件はありますか?
A. 2月〜3月の約1ヶ月間のみです。「昼間の7℃から夜間の−7℃」といった厳しい寒暖差が必要です。冬場に樹木が自らの細胞凍結を防ぐためにたくわえていたデンプンを糖に変え、春先の雪解け時期に昼夜の寒暖差で樹液が流動するメカニズムを利用しています。
Q. 樹液を採取している木は何本ありますか?
A. 現在稼働している20ヘクタールのエリアで約2,000本です。隣接する約40ヘクタールのエリアにも追加設置を進めています。
Q. 本場カナダの生産工場と比べた規模感はどうですか?
A. カナダのケベック州には約8,400の事業者があり、その約半数は当社と同等かそれ以上の規模で運営されています。
Q. なぜ池田町でこの事業を始めたのですか?
A. カナダと気候が近いことに加え、当社の母体(ニッタグループ)が所有する約6,700ヘクタールの山林のうち、約2,500ヘクタールの天然林にカエデが多く自生しているためです。燃料や肥料としての用途がなくなり放置されていた天然林を有効活用する、新しい事業モデルとして開始しました。
今回の訪問で学んだ知見と池田町産のメープルシロップは、カナダ姉妹校交流での文化交流プログラムに活かす予定です。
ご協力いただいた、わくっとニッタ株式会社様に心より感謝申し上げます。