「カレーを作って、地球を守る?」|3年次・家庭総合
いろいろな形で池田高校に関わってくださっている山本健太さん。
この日は「北海道地球温暖化防止活動推進員」として授業に来てくださいました。
授業は、次の2つのお題について考え、意見を共有する時間から始まりました。
Q1 地球温暖化防止について知っていること
【生徒から】
・二酸化炭素減少
・温室効果ガス
・再生可能エネルギー
Q2 地球温暖化防止に向けて意識的に行動していること
【生徒から】
・冷蔵庫の扉の開け閉め
・ごみの分別
・歩く
今日の授業のテーマは「カーボン・フットプリント」。
製品やサービスが生まれてから使われ、廃棄・リサイクルされるまでに排出される温室効果ガスの量を、二酸化炭素(CO2)に換算して“見える化”した数値のことです。
山本さんは言います。
「教科書的な知識を学んでも、自分の行動を変えるまではなかなか難しい。だから“遊び”を通して考えてみよう!」
カレーづくりゲームで学ぶ温暖化
今回の授業では、生徒たちが「カレーを作る」ゲームに挑戦。
限られた予算4,000円の中で、どこで何を買うかを選びながら、価格と同時にカーボン・フットプリント(GHG:温室効果ガス排出量)も計算していきます。
カードを引くたびに思わぬ展開が。
「とりあえず安いのから選んじゃう?」
「環境に良いほうがいいのかな?」
「幕別で買おうよ」
「この金額なら、余裕で2日は食べれるよね」
生徒たちの声が飛び交います。
絵を描いてくれたのは、1年生の山本さんと石橋さん。
このゲームをプレイするのは、池田高校が“初”とのことです。
勝敗の行方は…
ゲーム終盤では「温暖化防止賞」「環境貢献賞」が発表されました。
中には、「とにかく安く!」と近場のものを選んだ結果、イベントカードで“違法伐採”などのマイナス要素を引いてしまったグループも。
一方、「ルールの裏を読んで攻略法を探す」グループも現れ、ゲームのメタ読みまで起こる熱戦に。
「知る」と「変わる」のあいだに
最後は、それぞれのグループがカードを見直し、もし別の選択をしていたらどうなっていたかを振り返りました。
実際の行動は、すぐには変わらないかもしれません。
でも、ゲームを通して気づいたことがありました。
このゲームでは、最初にわかるのは「価格」だけ。
それは私たちの普段の買い物と同じです。
けれどもし、環境への負荷があらかじめ“見える化”されていたら、選び方は変わるでしょうか?
山本さんは問いかけます。
「知らせるだけで人は変わるわけじゃない。じゃあ、どうすれば“行動”が変わるだろう?」
生徒たちは、消費者としての自分の立場を考えながら意見を出し合いました。
「環境庁の“デコ活アクション”のように制度を整えることも大切だけれど、『高い』『お金がかかる』という現実もある。 それでも、ちょっと意識が変わるだけで選択は少しずつ変わるかもしれない。」
▲環境庁のリーフレット「デコ活」のすすめ(令和7年10月時点)より
山本さんはこう締めくくります。
「行動がすぐには変わらなくても、アンテナが高くなるだけで違う。この授業がその“きっかけ”になればうれしいです。」
最後に、生徒たちはゲームの改善点や新しいルールのアイデアも出し合いました。
「変わる」「変わらない」——どちらの考えも大切にしながら、どうすれば行動につながるのかを一緒に考えた授業となりました。