池高日誌

ワイン城の歴史と見学を通して学ぶ、地域産業とまちづくり|3年次選択・時事問題研究

5月28日 午前

 

本日、本校において、池田町が誇る「十勝ワイン」の歴史を学ぶ講演会、および「ワイン城」の現地見学が行われました。

生徒たちにとって、身近な地域産業の裏側にある先人たちの情熱や、まちづくりにかける想いに直接触れる、大変貴重な一日となりました。

◎第一部:講演会「ワイン城の歴史」(講師:水口 氏)

まずは、水口さんから、スライドを交えながら池田町のワインづくりの歩みについてご講演いただきました。

冒頭、水口さんからの「池田町といえば何でしょう?」という問いかけに対し、生徒たちからは迷わず「ワイン!」と元気な声が上がりました。和やかな雰囲気の中、いよいよ説明がスタートしました。

 

~災害からの復興と、あくなき挑戦の始まり~

池田町のワイナリーは、全国初となる「自治体ワイナリー」であり、そこで働く人々が役場職員であるというユニークな特徴を持っています。その誕生の裏には、相次ぐ地震や冷害によって赤字再建団体に指定された町の、苦難の歴史がありました。

その危機を救ったのが、当時の町長・丸谷金保氏です。「冬でもブドウが栽培できるはずだ」という強い信念のもと、圧倒的な発想力と行動力で挑戦が始まりました。最初は冷害で苗木が枯れてしまうなど幾多の試練に見舞われましたが、野生の「山ぶどう」がワインづくりに適していることを発見。ついに念願の免許を取得し、コンペティションで銅賞、さらには金賞を受賞するまでに至りました。

 

~厳寒地ならではの知恵と「本物志向」の追求~

冬にはマイナス20℃に達し、雪も少ないという厳しい環境でのブドウ栽培は、苦労の連続です。寒さから木を守るため、土を盛り上げる「培土(ばいど)」という気の遠くなるような手作業を重ね、地道な品種改良によって独自品種「清見(きよみ)」などを誕生させました。

また、昔は受け入れられにくかった強い「酸味」をあえて強みとして生かし、スパークリングワインやブランデーづくりに挑戦するなど、徹底して「本物志向」を追求してきた歴史も学びました。

現在では役場職員も勤務の一環として畑に入り、町全体でこの事業を支えています。「ワイン事業は、新しい産業を起こし、利益を町民に還元するためのもの。ワイン城や十勝ワインは、町民の誇りそのものです」という水口さんの言葉に、生徒たちは真剣な表情で聞き入っていました。

 

講演の最後、新得町出身の生徒から「新得町でもワインはつくっていますか?」という質問があり、水口さんが笑顔で「つくっていません(笑)」と答える一幕もあり、質問コーナーも大いに盛り上がりました。

 

◎第二部:ワイン城見学

講演会の後は、実際にワイン城へ足を運び、施設の見学を行いました。

案内してくださった説明員の方が本校(池田高校)の卒業生ということもあり、先輩・後輩ならではの和気あいあいとした温かい雰囲気で始まりました。

 

 

~五感で体験するワインづくりの現場~

見学では、スパークリングワインの細やかな工法や、整然と進む瓶詰めの工程を間近で観察しました。途中、ポツポツと雨が降り出すあいにくの天気となりましたが、広大なブドウ畑の景色は、生徒たちの目に新鮮に映ったようです。

特に印象的だったのが、ブランデーの蒸留見学です。部屋一帯に芳醇なブランデーの香りが充満する中、「ホワイトブランデー」のテイスティング(匂い体験)が行われました。その刺激的な香りに、思わず「おぉ…!」と顔をしかめる生徒もおり、お互いのリアクションを見ながら楽しそうに体験していました。

ショップ見学では、地元球団・ファイターズとコラボレーションした限定ワインを見つけるなど、ワイン事業が観光や他産業へ多角的に波及(6次産業化)している様子を、身をもって実感していました。

 

説明や現地での体験を通して、生徒たちは身近にある「ワイン城」が、どれほど多くの苦労と情熱、そして「町を愛する心」によって築かれてきたのかを深く理解することができたようです。

 

今日の学びが、「自分たちのまちの未来」を考えるためのかけがえのない一歩となることを期待しています。